チベット民族蜂起51年を迎え、チベット問題の早期解決を求めるSFTJapanの声明

2010年3月13日


中華人民共和国国家主席
胡錦濤殿
中華人民共和国駐日本大使
程永華殿

Students for a Free Tibet Japan(SFT Japan)
代表 ツェリン・ドルジェ

チベット民族蜂起51年を迎え、

チベット問題の早期解決を求めるSFTJapanの声明

 先月14日のチベット新年、アムドのガワでは、追悼の座り込みを行っていた僧侶や一般人400人が、武装警察に包囲されました。今月1日、カムのセルシュでは、毛皮を焼き捨てるために集まった数千人が、武装警察の妨害を受けて座り込みの抗議を行い、僧侶2人が連れ去られました。現在、ラサは、各地から送り込まれた大量の武装警察や軍隊で封鎖され、この2週間に500人が拘束されています。

 2008年3月に、ウ・ツァン、カム、アムドのチベット全土で広がった抗議活動が、武力で踏みにじられ、多くの血が流れてからまもなく2年が経ちます。しかし、どこで、なぜ、何が起きたのかという真実はいまだに明らかにされず、行方の分からない息子や娘、父親、きょうだいを待つたくさんの家族が涙を流しています。

 1959年3月10日から51年が経ったいまこの瞬間も、チベットは、深い悲しみに覆われています。私たちは、チベットのために犠牲となったすべての人々に敬意を表し、今もチベットで続く恐怖と悲しみが1日も早くなくなるよう祈ります。

 GDPで世界第2位の「経済大国」となった中国は、世界的大不況のなか、経済力だけを後ろ盾に、ますます発言力を強めているようにみえます。まるで、金さえ持っていれば、どんなことをしてもいい、と考えているかのようです。

 チベット自治区政府のペマ・ティンレー主席は今月7日、ダライ・ラマの転生後継問題について「いま話す必要はない。ダライ・ラマが死んでからでよい」と言い捨てました。どれほど多くのチベット人が、毎週水曜日に寺に参り、香を焚いて祈り続けているか知っていますか。自分の親を早く死ねと言われる以上に深く傷ついたか、分かりますか。チベット人であるペマ主席はもちろん知っているのです。私たちは、こんなにひどいやり方で、チベット人同士が傷つけ合うことを強いる中国の政策を、決して認めることはできません。

 この51年間、チベットでは120万人が犠牲になり、6000の仏教寺院が破壊され、既に、たくさんのかけがえのない命や財宝を失いました。チベット人はこれ以上、こころや、良心や、誇りを失うことはできません。チベット人のこころを金で買うことはできません。中国が「金さえ持っていれば、どんなことをしてもいい」というふるまいを続ける限り、問題の解決はありえない、と申し上げます。

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 私たちチベット人が求めているのは、「生まれた場所で、自分たちの思うとおりに、チベット人らしく生きたい」という、シンプルで、人間としてごく当たり前の願いなのです。

 ダライ・ラマが選んだパンチェン・ラマ11世、ゲンドゥン・チューキ・ニマ氏が1995年以来消息不明となっている一方で、今年2月、中国当局は、傀儡とするギェンツェン・ノルブ氏を中国仏教協会の副会長に、さらに人民政治協商会議(National Committee of the Chinese People's Political Consultative Conference [CPPCC])の委員に選びました。ギェンツェン・ノルブ氏が真のパンチェン・ラマであろうとなかろうと、チベット仏教の僧侶にとって重要なのは、政治的に重要な役職に就くことではありません。優れた師のもとで一段一段階段を上るように、仏の教えを学ぶことです。博士号にあたるゲシェの学位を取るために、僧侶は15年から20年の研鑽を続けるのです。

 ダライ・ラマ法王は毎年3月10日に出される声明の中で今年、「僧侶や尼僧は牢獄のような生活を強いられ、僧院は博物館のようになっている」と中国の愛国教育キャンペーンを批判しました。これに対し、中国・新華社通信は10日の社説で「中央政府は大量の資金を投入して寺院を修繕し、文化財を保護し、仏教経典を翻訳、出版している」と反論しました。ダライ・ラマ法王が求めているのは仏を信じ学ぶこころの自由なのに、中国当局の反論は金銭と物質的なことに終始するのです。私たちは、このすれ違いに、チベットをめぐる根本的な食い違いがあると訴えます。

 Students for a Free Tibet Japanが求めているのは、特定の個人や関係者の利益ではありません。チベット全体の状況を良くするために、以下の事項について、速やかな実現を求めます。駐日本大使におかれては、国際的な世論を、中央幹部に正確に伝えるよう要請します。

  1. 現在の行政区分にかかわらず、独自の文化を共有するひとつの民族としてチベット民族が尊重されること。
  2. チベット民族が固有の言語で教育を受ける権利、国家に干渉されずに宗教活動を営む権利、伝統に合致した環境保護政策をチベット民族自身が実行する権利が保障されること。
  3. チベット独自の歴史、文化、精神がチベット人の手により継承され、民族の固有性と本質が失われないことの重要性を認め、バランスのとれた経済発展を重視すること。
  4. 現在チベットで起きている非暴力的な抗議活動の参加者に、暴力や武力弾圧をやめ、言論の自由と心身の安全を保障すること。
  5. 2008年3月以降にチベットで起きた抗議活動と武力弾圧において、実際に何が行われたかの詳細な事実関係や死傷者数などを、第三者機関によって調査し、明らかにすること。