チベット民族蜂起から63年にあたり
チベット問題の速やかな根本的解決を求める声明

Students for a Free Tibet Japan
代表 ツェリン・ドルジェ
2022年3月12日

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 チベットの首都ラサで1959年3月10日、中国共産党の抑圧に対し民衆が立ち上がった民族蜂起から63年を迎え、今日までにチベットの自由のために犠牲となった多数の無辜のチベット人を追悼するとともに、中国政府に対し、現在も続く人権弾圧を即刻やめるよう求めます。

 2週間前の2月25日、ラサのポタラ宮殿前で25歳の人気歌手ツェワン・ノルブが抗議の焼身をはかり亡くなったことに我々は深い悲しみと怒りを抱いています。2008年にチベット全域に広がった抗議活動が武力弾圧され多数の命が失われた後、徹底的な監視と抑圧の中、2009年以降に自らの命を懸けた最後の手段で国際社会に現状を訴えたチベット人は少なくとも158人(ほかに中国支配エリア外で8人)に上ります。この悲劇的な数字が示すものは、中国政府のチベット政策は完全に失敗しているという証明にほかなりません。

 2021年12月、チベットのカム地方ダンゴ(四川省甘孜州炉霍県)で高さ30mの弥勒菩薩像や仏教施設が中国政府により破壊されました。仏像は四川大地震(2008年)などの震災犠牲者を悼む目的で喜捨を集め政府の許可を得て2015年に建立された合法的な宗教施設であり、地元の理解を得ない強制的破壊と撤去は、住民や信徒の尊厳と信仰心を踏みにじると同時にかつての文化大革命を想起させる暴虐です。

 経済力を盾にナショナリズムを肥大させ、チベット、ウイグル、モンゴルで民族弾圧、香港で民主化運動弾圧を続ける中国政府に、国際社会は厳しい視線を向けています。強行された2022年北京冬季五輪・パラリンピックは欧米諸国の外交的ボイコットが相次ぎ、国連で43カ国が人権侵害に対する非難声明を出したほか、日本も中国の人権侵害を念頭に置いた国会決議を採択しました。

 ロシアのウクライナ侵攻はチベット人にとり1950年の中国による軍事侵略の記憶を甦らせるものです。人類の理性を信じ、民主主義と人道主義のもと非暴力で続くチベットの闘いがますます重要性を増しています。チベット人の誇りが暴力に屈服することはありません。歴史の真実と正義はチベットにあります。