チベット亡命政府はこのほど、2008年3月から始まりチベット全土に広がった抗議行動の最中、中国武装警察がラサでチベット人に暴行をふるう模様が映った貴重な映像を公開しました。映像には、3月14日、ラサで警官による僧侶への暴行を停めようとして逮捕されたチベット人の若者、テンダルさんが、暴行による致命傷で亡くなった場面も映っています。
原文は、http://www.tibet.net/en/index.php?id=759&articletype=flash&rmenuid=morenews
チベットにおける中国の残虐行為を暴く
昨年6月にチベット全土で発生し、世界中に広まった抗議を記録した映像は多い。しかし、今からお見せするのは、警官による抗議参加者の殴打、逮捕者への残虐な仕打ち、ラサに駐留する民兵などを記録したもので、国外に無事持ち出すことができた貴重な映像である。
中央チベット行政府が把握している情報によると、2009年1月31日時点で、これらの殴打などの結果、チベット人約220名が死亡、1294名超が負傷、5600名超が逮捕、290名が有罪宣告、1000名超が「行方不明」となっている。
これまでも、中国警官による抗議参加者の残虐な扱いを記録した映像は国外に持ち出されており、中でもひどいものは、1988年のジョカン寺の僧侶を殴打する映像である。このときの映像は、中国警官の残虐さを記録した初の映像として世界中に広まっている。
中国は、チベットにおける拷問の事実を繰り返し否定している。昨年3月に続発した抗議行動とそれに伴う弾圧の後も、中国当局は拘束されたチベット人に対して残虐な殴打および拷問を続けている。2008年11月、中国外交部は、中国警官による拷問が横行しているという国連委員会の報告書の内容を「虚偽、中傷」であるとして否定した。また、委員会メンバーについても、中国に対する偏見を持っているとして非難した。しかし、今からお見せする映像を見れば、2008年になってもチベットの状況が改善していないことがお分かりいただけるだろう。警告:残酷な表現がありますので、ご注意ください
これは、2008年3月10日以降、チベット全土に広まった大規模抗議に参加したチベット人に対し、中国警官が殴打を加えているところを撮影した貴重な映像である。
映像は、2008年3月14日より後に、ラサおよびその近郊で撮影されたものだという。拘束され、手を縛られた後も殴打が続いていることが明白に見て取れ、これは拘束者の扱いに関する国際基準に違反している。次の映像は、「中国移動通信」に勤めていたチベット人の若者、テンダルのものである。彼は、中国当局によってひどく殴打された後、非人道的な扱いを受けた。
彼は、中国警官が僧侶を殴打するのをやめさせようとしただけだった。2008年3月14日、通勤途中のことである。彼は銃撃され、タバコの火を押し付けられ、右足にくぎを突き刺され、電気棒でひどく殴られた。
彼の傷やあざは、中国当局による残虐行為を証明している。彼がチベット自治区人民病院に運ばれてきたとき、医者も看護師もショックを隠せなかった。腐敗した傷やあざから、軍の医療機関では応急処置さえ施されなかったことが明らかだった。傷口はポリエチレンで覆われていたために腐敗し、それは映像からも明らかである。自治区人民病院では、約2.5kgもの腐敗した個所を彼の体から取り除かなくてはならなかった。
家族は必死に治療費を集めて彼の回復を願ったが、その願いは叶わなかった。2008年6月19日、彼は死亡し、遺骸は伝統に従ってハゲワシに与えられた。そして遺体の右足からは、貫通していたくぎが見つかった。最後の映像は、チベット蜂起から50年目にあたる3月10日を目前に大量に投入されたラサの民兵を撮影したものである。
ラサを含むチベット全土は、今でも事実上の戒厳令下にある。
本件に関してSFT本部もニュースリリースを出しています(英文)
http://www.studentsforafreetibet.org/article.php?id=1908