2008年3月の騒乱に関するチベット人死刑執行への抗議声明

2009年10月22日

10月20日、チベットのラサ市内で4人のチベット人に対して死刑が執行されました。4人のうちひとりは氏名が判っていませんが、残る3人は昨年3月にラサからチベット全土に広がった騒乱に関わり、逮捕・拘束され、死刑判決を受けた人たちです。
ラサ出身のロサン・ギェンツェン(27)とショル郷タシカン出身のローヤー(25)、サキャ出身の女性ペンキ(21)は商店への放火致死の容疑で逮捕されました。今年4月にラサ市中級法院で下されたこれらの死刑判決は、中国政府の方針に反対するチベット人たちを黙らせるための暴力的なキャンペーンの一部を成す政治的なものです。

Students for a Free Tibet Japan(SFT Japan)をはじめとするチベット支援各団体、アムネスティ・インターナショナル、ヒューマン・ライツ・ウォッチなど国際人権団体は彼らへの判決が国際的な司法基準を満たしていないことなどから、各国の政府などに彼らの救援を求めてきましたが、中国政府はこれを無視して死刑執行を強行しました。中国の法制は恣意的に運用されており、少数民族であるチベット人に対して公平ではありません。中国当局は彼らが「司法」と呼ぶ制度の中でチベット人に対する法的な権利を否定しており、少なくとも3人はいままでの経緯からその権利を奪われたまま処刑されたものと推測されます。

SFT Japanは、4人のチベット人の処刑について中国政府に対し厳しく抗議するとともに、昨年3月のチベット騒乱で拘束された多くのチベット人、そして十分な弁護や審理を受けられないまま不当に厳しい判決を受けて服役しているチベット人の解放を求めて、以下のとおり中国政府に要求します。

  1. これ以上のチベット人処刑により事態を悪化させることのないよう、現在死刑判決を受けているすべての被告への刑の執行を即座に停止してください
  2. 昨年3月〜4月の騒乱により行方不明となっているチベット人1200人以上の氏名と現在の居場所を明らかにしてください
  3. 国連拷問禁止委員会が昨年11月に出した「平和的行進への参加者に対する過度な武力行使に関する徹底的で独立した調査」への協力依頼に応じてください
  4. ダライ・ラマ法王の方針否定をやめ、60年間に及ぶチベット占領の平和的解決へ向けて交渉を行ってください

日本をはじめとする各国政府には、チベット人の人権侵害に関して外交的リーダーシップを発揮するともに、在北京各国大使館における緊急施策に組み入れていただき、中国政府との関係においてそれらを外交課題に挙げていただくようお願いします。
また皆様におかれましては、どうかこれ以上の血がチベットに流れないよう、引き続きご支援を賜りますよう、よろしくお願いします。

以 上

Students for a Free TIBET Japan
代表 ツェリン・ドルジェ