中国当局のキルティ僧院弾圧に対するチベットNGO共同声明

軍と警察による寺院の封鎖と兵糧攻めの非人道行為を強く非難する

東チベット・アムド地方ンガバ(中国名:四川省阿壩蔵族羌族自治州阿壩県)のキルティ僧院は、2011年3月16日に僧侶プンツォ(20歳)が抗議の焼身自殺をして以来、非常に緊張した状況が続いている。中国当局は現在、キルティ僧院を厳重な封鎖状態に置いている。僧院の出入り口は武装警察に包囲され、僧院の周囲は高いセメントの壁で取り囲まれ、僧侶たちは監禁状態となっている。食糧の供給が断ち切られ、僧院内には飢えと栄養失調のおそれが広がっている。僧院内には約2500人の僧侶が閉じこめられている。

この数週間、キルティ僧院の宗教活動は中国政府により暴力的に制限され、「再教育キャンペーン」が強力に推し進められてきた。仏教の修行と慈悲を説くための聖域であるべき僧院は、実質的には牢獄と化した。多数の僧侶が僧院から拘束、連行され、行方は分かっていない。

「グチュスムの会(チベット良心の囚人の会)」副会長ルカル・ジャンは「私自身、ほかの政治囚と同様に、中国の獄中でチベット人が受けるさまざまな拷問を受けた。キルティ僧院の僧侶は無実であり、国際的に認められた権利である宗教の自由が脅かされている」と述べた。「私たちはンガバの状況を深刻に憂慮すると同時に、この数週間に恣意的に拘束された人々全員をただちに釈放するよう要求する」

現地情報筋によると、2011年4月11日夕方、住民は、中国当局が僧院内の18~40歳の僧侶全員を拘束しようとする動きを察知した。拘束された僧侶たちは地方の刑務所に移送され、政治的「再教育」を受けさせられるものと思われた。

地域住民はすぐに僧院入り口に集まり、(僧侶を拘束連行から守るため)座り込みを開始した。武装警察と軍は、集まったチベット人を殴打し、警察犬をけしかけて突破を試みたが、チベット人たちは暴力的攻撃にも一歩も引かず、警察と軍は境内への侵入に失敗した。

チベットNGO 5組織を代表し、「チベット青年会議」会長ツェワン・リンジンは「国連および世界各国の政府は、基本的人権の保護の立場に立って調停を行ってほしい。また、ンガバで行われている暴力的攻撃や脅迫的圧政を直ちにやめるよう、圧力をかけてほしい」と訴える。「我々は全世界に対し、非人道的行為に対する怒りを示すこと、罪のないチベット人の生活をまもるため即座に行動するよう訴える」

中国当局がンガバで行っている野蛮な行動は、1949年のチベット侵略直後や文化大革命中に共産党軍などによりチベットに与えられた大規模な破壊と抑圧を想起させるものだ。中国政府は1959年以降、チベットの僧院を破壊し続け、僧侶や尼僧に残忍な仕打ちや拷問を与え続けてきた。しかし中国は50年間にわたる支配によっても、チベットの人々の精神を破壊することはできなかった。それどころか、むしろチベット各地での抵抗運動を燃え上がらせたのだ。

2008年3月16日のンガバでの平和的蜂起のなか、抗議者たちは中国当局に動物のように残酷に鎮圧され、少なくとも10人のチベット人が殺された。それから3年目の節目に、自分自身の命を犠牲にする形で、プンツォが中国のチベット支配に対し抗議の声を上げた。

この数週間に、プンツォのほかに2人のチベット人――2008年の平和的抗議活動に関与したという理由で収監されていたブルク(59歳)とジャミヤン(37歳)――が拘束中の拷問が原因で死亡している。

Tibetan Youth Congress(チベット青年会議)
Tibetan Women’s Association(チベット女性協会)
National Democratic Party of Tibet(チベット国民民主党)
GuChuSum movement of Tibet(グチュスムの会)
Students for a Free Tibet-India(スチューデント・フォー・フリー・チベット・インディア)

これはチベット語原文を英訳したものであり、仮に食い違いがあった場合は、チベット語のオリジナルバージョンが優先される

翻訳:Students for a Free Tibet Japan (訳注:日本語訳は英語版を基にしている)

キャンペーン:アムドで中国武警が僧院を封鎖 一触即発の危機