チベット民族蜂起から56年にあたり一刻も早いチベット問題の根本的解決を求めます

2015年3月15日


中華人民共和国  国家主席 習 近平 殿
駐日本大使 程 永華 殿

Students for a Free Tibet Japan (SFT Japan)
代表 Tsering Dorjee (ツェリン・ドルジェ)


チベット民族蜂起から56年にあたり一刻も早いチベット問題の根本的解決を求めます

わずか10日前の3月5日深夜、チベット北東アムド地方のンガバで、ノルチュクという3児の母親が自らの身体に火を放ち、炎に包まれて亡くなりました。ノルチュクはダライ・ラマ法王の長寿と帰還を願い数年前から精進潔斎していたと伝わっています。仏教の重要な祭日であるチベット暦正月15日に、かけがえのない生命とひきかえにしてノルチュクが願ったものは、ダライ・ラマ法王がチベットに戻られること、生まれ育ったチベットでチベット人として生きること――たったそれだけのことにほかなりません。
武力による弾圧と徹底的な監視でからだの自由を奪われ、僧院への迫害と思想的強制でこころの自由を奪われ、残された身一つを灯明とかえて正義を求めるチベット人は、2009年以来、チベット本土だけで137人にものぼります。聡明な学生が、草原の遊牧民が、研鑽を積む僧侶が、地元で尊敬を集める男性が、子どものいる母親が……。このような選択をするに至った一人一人を思い、私たちは身を切られる悲しみのなかで、この異常事態は中国共産党政府による虐殺に等しいと申し上げます。

チベット自治区共産党のペマ・ティンレー副書記は3月9日、中国の全国人民代表大会で「現在のチベット政策はかつてないレベルで成功し、経済成長と人々の安全は史上最高レベルだ」と強調しました。私たちはこのでたらめな主張に強く抗議します。
仏教に帰依し来世を信じるチベットの人たちが今生のいのちとひきかえに自由を望む状況のいったいどこが「成功」なのでしょうか。草原を追われ家畜を奪われ強制的に移住させられて社会的にも精神的にも追い詰められる生活のどこに「経済成長」があるのでしょうか。大量の武警を駐屯させて銃口を突きつけ抵抗を封じた状態が「安全」だというのでしょうか。
欺瞞はもうたくさんです。
私たちははっきり指摘します。中国共産党のチベット政策は根本的に間違っています。
チベットのあるじはチベット人です。チベットの第一言語はチベット語でなければならず、僧院では伝統に基づく修行階梯ができなければならず、チベット人自らの手によって文化政策や教育政策の立案実行が実現する名実の伴った「高度な自治」が保障されなければならないはずです。これらは中国の国家憲法に明記された少数民族の権利であり、共産党政府がチベット支配の根拠と主張する「十七カ条協定」にも記されていることです。

1959年3月10日に首都ラサでチベットの一般市民が立ち上がってから56年、2008年にチベット各地で湧き起こった非暴力抗議が銃弾により徹底的に弾圧されてから7年が経ちます。この間、チベットの状況は深刻さを増し、チベット人は苦難のなかで過ごしてきました。しかし、抑圧や迫害で民族の誇りや尊厳を奪うことはできません。チベット文化をまもり民族のアイデンティティーを誇る気運は高まっています。さらには、紛争が先鋭化する現在の国際情勢のなか、平和と共存の可能性を説きあかすチベット仏教哲学とダライ・ラマ法王の思想はますます重要性と存在感を増しています。

SFT Japan(スチューデンツ・フォー・フリーチベット・ジャパン)は、中国共産党政府に対し、現在の誤ったチベット政策をただちに撤回し、チベットで続く人権弾圧を停止するよう求めます。チベットの文化と宗教を尊重し、チベット高原の乱開発と生態系破壊をやめ、チベット600万人の代表であるチベット亡命政権とダライ・ラマ法王との対話を速やかに再開して、チベット問題の根本的な解決をはかるよう求めます。

Students for a Free Tibet Japan
Tsering Dorjee