アムドで中国武警が僧院を封鎖 一触即発の危機

チベット東部アムドのンガバ(四川省阿壩蔵族羌族自治州阿壩県)にあるキルティ僧院で、中国武警が僧院を封鎖し、食糧の供給も絶つという異常事態が起きています。2008年3月のチベット蜂起から3周年になる今年3月、キルティ僧院の若い僧侶が抗議の焼身自殺をし、僧侶や民衆が立ち上がったのがそのきっかけでした。21日夜にはついに僧侶たちの連行が始まり、支援する民衆と治安部隊との衝突により、チベット人2人が死亡、1人が行方不明になっているという情報もあります。
SFT Indiaなどインド・ダラムサラのチベットNGO 5団体は中国当局を非難する声明を発表。ヒューマンライツウォッチや米国国務省など国際社会もこの事態を注視しています。
SFT Japanなど国内のチベット関連7団体も、4月20日、菅首相と松本外務大臣に中国政府への働きかけを要請する共同要請を送付しました。
あなたにもンガバのチベット人のためにできることがあります。

情報

あなたにもできることがあります

四川省党書記にンガバでの弾圧をやめるようメールを送ろう

SFT Japanでは、四川省共産党の劉奇葆書記への要請を送れるオンラインフォームを用意しています。氏名、アドレスを入れるだけで送信できます。

各国の指導者にチベットでの弾圧を停めるようメールを送ろう

International Tibet Networkでは、米国のオバマ大統領をはじめ、インド、ドイツ、英国、フランス、ロシア、豪州の各国指導者、国連の潘基文事務総長と国連難民高等弁務官への要請を送れるオンラインフォームを用意しています。こちらにもご参加ください。

アムネスティによる緊急アクション

アムネスティインターナショナルでは、ンガバで拘束されているチベット人たちの解放を求める緊急アクションを呼びかけています。5月30日までに、四川省公安部、四川省人民政府、中国公安部に要請文を送ってください。


中国武警がアバ・キルティ寺を包囲 僧侶 2500 人が食糧不足に陥る

4/11 チベット人権民主センター(TCHRD)
http://www.tchrd.org/press/2011/pr20110411.html

チベットでの中国当局の弾圧に対する2008年の抗議から3周年に起きたプンツォという僧侶の焼身事件後、プンツォの所属していたアバ・キルティ寺では状況が悪化している。TCHRDが確認した最新情報によれば、中国武警が僧院を包囲して封鎖し、アバ県での治安を強化するため約800人の武警が9日までに新たに増派された。僧院からの外出や帰院を許されないなど、僧侶たちの行動は完全に制限されている。僧院北側の鉄条網の隙間は、コンクリート塀で塞がれた。封鎖以来、僧院内は食糧不足に陥っており、僧院事務局を通した地元の人々からの托鉢に頼っている状態だ。信仰深い地元のチベット人からの食糧寄付を当局は禁止している。現地の情報からは、このままの状態が続けば2500人以上の僧侶が飢え、大規模な反乱を起こしかねないことを示している。もしそうなれば、治安部隊は3年前の2008年3月16日にアバ県で行われたのと同じ「法律を超えた」殺害を含む弾圧を行うだろう。だが、当局の締め付けに対しても冷静を保つよう、高僧や僧院職員が僧侶たちに説得すれば、そのような事態は避けられるかもしれない。

プンツォの抗議とそれに続くキルティ寺の僧侶たちの連帯に、当局は僧侶たちを規制する抜本的な対策を取った。最新の情報によれば、以前は僧院を包囲していた武警が、4月初め以降僧院内に入っている。彼らは老僧がコルラ(寺院内の巡礼路を右繞)することも禁じ、仏塔の段差に陣取って監視所を設置した。監視員は四六時中、僧院内での活動をチェックしている。これまでに33人が逮捕され、うち22人(僧侶8人、一般人16人)はまだ拘束されたままである。

チベット人権民主センター(TCHRD)は、アバで起きている人権侵害と、チベット人に対して行われているすべての弾圧や根拠のない逮捕、拘束をただちにやめるよう、国際社会と国連が人権に関わる緊急勧告を出すことを求める。センターは中国当局に対し、キルティ寺の僧侶たちへの食糧拒否といった人権侵害をただちにやめ、行動制限を緩めるよう要請する。

アバ県とキルティ寺での状況(2011年4月11日現在)

  • Dhonyoe Dorjee,Tenzin Jamkoともう一人、計3人のキルティ寺僧侶が2011年4月8日に逮捕された
  • ザムタン県ワルマ郷の公安局前で4月8日、約30人が抗議を行った。ギャロン出身でザムタンに婿入りしある若者が公安の攻撃で重傷を負い、その後病院で死んだ。彼を悼み、約1000人のチベット人が抗議した
  • Lobsang Ngodup(32)と Lobsang Choephel(24)の2人の僧侶たちは3月30日頃拘束され、まだ解放されていない。事情や居場所も不明のまま
  • 近隣のザムタン県Namda郷ではアバ県のチベット人に連帯した抗議が3月23日に行われた。当局はザムタン県とアバ県への部隊増派で応じた。Wolkho とDorjee、A-Dor、Woeser Dorjeeの少なくとも4人が逮捕され、現在も拘束中である
  • 3月25日夜、北京市内で中央民族大学の学生、Lobsang Tsepak(27)が拘束された。彼もプンツォが属していたキルティ寺に以前いたことがあった
  • 3月22日、プンツォの弟でキルティ寺僧侶のLobsang Kelsang(19)と母方のおじ Lobsang Tsondueと Samdupが逮捕された。Lobsang Kelsangと Lobsang Tsondueはその後釈放された
  • 3月20日頃、Lobsang Tenzinが逮捕され、現在も拘束中
  • 3月20日頃、当局はアバ県の上タワ郷とガマ郷で集会を招集し、欠席の罰金は30元だとほのめかした。その後アバ県の郷鎮委員会は中国共産党を「称賛し、感謝する」集会を開催している。さらに当局はアバ県の全戸を訪問し、家族に僧侶がいないか、プンツォの自殺に対する意見など情報収集を行っている
  • 3月20日より5日間にわたって「愛国愛教」政治運動が寺院内で実施された。終盤には職員が「反応を求め」「意見を集める」ために数人ずつに分かれて各部屋を回った
  • 3月19日以降、僧院の宗教行事は当局によって延期され、夜になると訓練された犬を連れた武装兵が僧院の周囲を巡回している。僧侶たちは夜遅くまで研究することを禁止された。自分以外の房で見つかった僧侶は殴られた
  • バルカム県にあるアバ高級中学の生徒たちが3月17日からプンツォに連帯し、当局の非人道的扱いに抗議するためのハンガーストライキを開始。3月23日までストライキ実施の情報があったが、その後は確認できていない
  • アバ県メマ郷出身のPhuntsokが3月16日に逮捕され、現在も拘束中

背景

2011年3月16日、四川省アバ県でプンツォという若いチベット僧が焼身をはかり、翌朝病院で死んだ。彼の抗議は、中国の支配に対して起きた2008年3月のチベット蜂起から3周年に行われた。プンツォが炎に包まれている時、公安は炎を消し、彼は激しく殴打した。その場にいたチベット人たちは彼を保護し、彼の僧院、キルティ寺に彼を運んだ。その後彼が病院に移された際、病院は治療に際して公安の許可を求めた。僧侶は翌17日午前3時頃、熱傷のために死んだ。
約1000人のチベット人たちが市場に集まり、公安と当局に対して抗議した。隣県から集められた武警や治安職員が平和的な集まりを武力で解散させた。その際、中にいたチベット人数人が拘束された。

翻訳: Students for a Free Tibet Japan


ダライ・ラマ14世による呼び掛け

http://dalailama.com/news/post/663-appeal-by-hh-the-dalai-lama

 チベット北東部ンガバのキルティ僧院で現在、中国の軍隊と地元のチベット人が対峙し、一触即発の極めて危機的な状態になっている。約2500名の僧侶が生活するキルティ僧院は、軍隊に完全に包囲され、必要な食糧や物資がまったく運び込めない状況が続いている。
 地元チベット人は、キルティ僧院の包囲が僧侶の大量拘束につながることを怖れ、軍と警察のトラックや他の車両を僧院内に出入りさせないよう、僧院を封鎖している軍を取り囲み、群衆が道路を埋め尽くしている。

 中国の地方当局によるキルティ僧院の封鎖は2011年3月16日、この僧院の若いチベット人僧侶が、2008年にチベット全土に広がった非暴力的抗議活動から3年となる日に焼身自殺を図った悲劇に端を発する。警察はこの時、若い僧侶の身体の炎を消す代わりに彼の全身を殴打し、悲劇的な死の一因を作った。この警官の行為が僧侶の間に大きな憤りを招き、結果として、キルティ僧院の大規模封鎖につながった。

 私は、この事態のなかで何らかの暴発が引き起こされ、ンガバのチベット人にとって破滅的結末に至ることを深く憂慮している。
 このような状況を踏まえ、私は、現地のチベット人僧侶と俗人すべてに対し、当局の弾圧を正当化する口実として使われかねないいかなる行為も慎むよう、強く求めるものである。
 また、私は、国際機関と世界各国の政府および国際NGO(非政府機関)の方々に、この状況下での武力行使を行わないよう、中国指導部に対して働きかけることを強く促すものである。

 過去60年間、(中国共産党当局が)チベット問題を扱う手段として武力行使のみに頼ってきた結果は、つまるところチベットの人々のなかに不満と反抗心を深めただけであった。私は、だからこそ、中国指導部に対し、現実的アプローチを採用し、勇気と智慧をもってチベットの人々の不平不満に耳を傾けるべきであると呼びかけたい。決して、武力で抑えつけることによってこの事態の収拾をはかることのないよう、強く要請する。

ダライ・ラマ
2011年4月15日

翻訳:ルンタ・プロジェクト


中国:膠着状態のチベット仏教寺院に対しては抑制的行動を治安部隊は武力行使を慎むべき

4/15 ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)
http://www.hrw.org/en/news/2011/04/15/china-restrain-forces-violence-tibetan-monastery-stand

(ニューヨーク)-ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日、四川省南西部阿壩県のキルティチベット仏
教寺院の周囲で数百人の地域住民と治安部隊が膠着状態にある状況について、中国政府は武力を行使すべきではない、と述べた。最近伝えられるところでは、治安部隊は寺院の周囲に集まった群衆に軍用犬をけしかけたり住民を殴打するなど暴力がふるわれている。これらの報告は、チベット全体で政府への抗議活動が起きて3年目となる2011年3月16日にこの寺院の僧侶が焼身自殺を図ったことに始まる一連の緊張状態の一部である。

ソフィー・リチャードソン(HRW アジア支援ディレクター)は「中国政府は、中国の憲法と法律に基づき、市民の表現、出版、集会、信仰の権利を保障する義務がある」と指摘する。「キルティ寺院のケースをはじめとする非暴力、非武装の抗議者に対する武力行使は、完全に不当、不法である」情報によると、キルティ寺院周辺では2011年4月12日、治安部隊が18~40歳の僧侶を「再教育」するため強制連行する準備に入ったと考えた地元住民が、2500人の僧侶を守ろうと寺院を取り囲み、緊張状態が高まった。HRWは2008年3月以来、チベット各地で、中国の治安部隊が僧侶を含む非暴力の抗議者に破壊活動家の疑いをかけ、拘束中に拷問や虐待を行った多数の事例を報告している。HRWがキルティ寺院周辺の住民の身の安全に対し強い懸念を表明する背景には、中国国内で法律を無視した治安維持キャンペーンの一部として、この1ヶ月間に国内で最も著名な弁護士や人権活動家、インターネット活動家が何十人も逮捕されたり拘束されて行方不明になっているという事実がある。

HRWは中国政府に対し、住民の抗議に対応する際は自制的に行動するべきであり、また、キルティ寺院の膠着状態の解決にあたっては適正な手続きと国際法に従うことを確約するように促した。リチャードソンは次のように述べている。「中国の治安部隊が、関係者すべての安全に配慮し、僧侶と周辺住民の自由な宗教活動と言論集会活動の権利に敬意を払い、必要最小限の権力行使によって、平和的に抗議活動を行う権利が尊重されることがきわめて重要だ」

翻訳:ルンタ・プロジェクト
訳注:HRWによる正式な訳出ではなく、訳語で食い違いが生じた場合は原文英語を優先のこと