トンドゥップ・ワンチェンを速やかに無条件で釈放してください

チベット人映画制作者トンドゥップ・ワンチェンの解放を求めるStudents for a Free Tibet Japanの声明

2009年8月1日

中華人民共和国国家主席 胡錦濤殿
中華人民共和国駐日本大使 崔天凱殿

2008年8月6日、五輪開催を控えた北京市内で2人のチベット人が制作したドキュメンタリー映画 "Jigdrel" の上映が行われました。「恐怖を乗り越える」という意味の題名がつけられたこの映像は、日々の社会的抑圧や政治的迫害を感じながら生活するチベット本土のチベット人が、北京五輪についてどう感じているのか、置かれている政治的状況をどうに考えているのか、強制移住や中国政府による資源収奪や教育・文化面での抑圧の実態をカメラの前で赤裸々に語った貴重なインタビューで構成されています。
この映像はその後、30以上の国々で上映され、チベット問題を憂慮する世界中の人々に強い印象を与えるとともに、チベット本土のチベット人自身を強く勇気づけたといいます。
一方、チベット各地を歩き、この映像を取材撮影したトンドゥップ・ワンチェン(当知項欠:Dhondup Wangchen)を2008年3月26日、中国政府は違法に拘束し、その後、国際社会の度重なる問い合わせに対し、拘束の事実や所在を隠し続けてきました。

彼の家族の努力と、北京の弁護士の助けによって、彼の状況がわかったのはごく最近のことです。彼は現在西寧市第一拘置所に拘束されており、拘置中の尋問において、拷問・虐待を受けているといいます。これは人道上決して許されないことです。また拘置中にB型肝炎に感染したものの、治療を受けることができていないと伝えられており、健康状態も憂慮されます。
今年になって彼の家族は北京共信弁護士事務所の李敦勇弁護士に弁護を依頼しましたが、当局は彼と李弁護士との面会を妨害し、新たな担当地域制の規則を適用して李弁護士の弁護が受けられないようにしました。 また、李弁護士には規則に違反すれば弁護士免許を剥奪すると脅迫しています。これでは公平な裁判が期待できません。

トンドゥップ・ワンチェンは、社会秩序を乱すテロリストなどではありません。表現の自由は、国際社会において尊重されるべき基本的人権のひとつであり、中国憲法でも保障された権利のはずです。トンドゥップ・ワンチェンはその自由を行使したことで、政治犯として拘置されています。
表現活動や思想の自由がこのように権力で踏みにじられることは、中国が決して「法治国家」ではないことを示すことになり、中国政府が北京五輪誘致の際に表明した「五輪開催は中国国内の人権の向上につながることを確約する」という公約にも反します。

これまでの経緯から彼の裁判の公平性と中国の司法制度の合理性が疑われます。チベット人はいつも基本的な法的権利が蹂躙され、自由な発言を行っただけで長い刑期の刑罰が下される傾向にあります。

Students for a Free Tibet Japanは、トンドゥップ・ワンチェンが国家分裂の容疑で裁かれようとしていることに強く抗議し、チベット全体の状況改善のため、以下の事項が速やかに実現されるよう求めます。中国の駐日本大使におかれては、世界的な世論の潮流を、中央幹部に、正確に伝えていただけるよう要請します。

1. トンドゥップ・ワンチェンの身柄を速やかに無条件で釈放すること
2. 釈放までトンドゥップ・ワンチェンの安全を保障し、人道的に処遇され、拷問や虐待の対象となるようなことがないようにすること
3. トンドゥップ・ワンチェンに必要な医療措置が受けさせること
4. トンドゥップ・ワンチェンと家族が選任した弁護士への妨害をやめ、その弁護士が弁護を引き受けられるようにすること
5. 取材を受け撮影された人を含む、すべての制作関係者の安全と自由を保障すること。

以 上